2006年10月25日
「シャッフルカードじゃらん」から予測する今後のブラウザビジネス
特別インタビュー:長田幸和 氏(情報建築師)
2006年に開催された技術者向けの新サービス開発コンテスト「Sun×RECRUIT Mash up Award」で「じゃらん賞」を受賞した情報建築師・長田幸和さん。長田さんに開発の背景から今後のネットビジネスについてお話を伺いました。(長田氏は新しいネットビジネスを創造する、クロスコのインキュベーションプロジェクトに参画してくださっているメンバーです)
Q:まずは、「シャッフルカードじゃらん」(*1)を制作されたきっかけについて教えてください。
長田
「ホームページじゃないホームページ」を作りたかったんですね。ホームページらしくないものをつくりたかった。 「シャッフルカードじゃらん」はアプリケーションぽいデザインになっているんですね。ブラウザじゃないんです。ホームページなんだけど、見た目は全くホームページじゃないように見せてみたい。マッシュアップを使えば、実はホームページはホームページじゃなくなるといったことを見せてみたらどうなるのかなと思ったんです。
Q:「シャッフルカードじゃらん」はAjax(*2)をつかっていて、「新しいスタイルの検索」ができるようになっていると思うのですが、あのインターフェースを考えたときにどういう風な使い方ができたらいいなと考えたのですか?
基本的にはユーザーの思考を中断させたくないということがあります。あとできるだけユーザーに入力させないことを狙っています。 ホームページはどうしても画面遷移している間に思考が中断してしまうんですね。なので、画面を遷移させないことで、思考を中断させずに、ユーザーが望むものを出すというのと、できるだけ入力させない。ユーザーの最低限の入力だけで、必要だろうと思う情報を出してしまうことを狙っています。
Q:「検索じゃない検索」ということでしょうか。そうなるとこれまでのサービサーと違うスタイルの「情報を加工していくサービス」が出てくると思うのですが。
見込み客をどんどんつかんでいきたいわけですねマーケットとしては。見込み客というのは具体的なイメージがないので、入力できなくて検索できない。見込み客を囲い込みたければ、入力させる情報が少なくても、芋づるでつながる情報をどんどんひろっていってあげる。そういう風に検索が変わると思うんですね。それをマッシュアップやAjaxをつかって可能性を広げると。
Q:情報を提供する側が「ユーザーをサポートする仕組みをつくる」ということですね。長田さんがこれから注目しているサービスは?
個人的には、Ajaxやマッシュアップを使うと、ホームページ以上の表現ができるわけで、表現力があがると思っています。それプラスFlashの表現力。 今はまだあまりないと思うのですが、今後お互いの利点を活かしたサービスの形にチャレンジする人が増えると思います。それが楽しみです。
Q:そのように変わっていく中で、今後はネットビジネスがどうなっていくと思いますか?
実は、インターネットの世界ではソフトウェアアプリケーションという概念がなくなると思うんですよ。
例えばワープロをやると行ったら「word」や「一太郎」を買ってインストールしてやるのが当たり前だと思うんですけど、「Google Docs」(*3)や「Google Spreadsheets」(*4)があるように、ソフトウェアを買ってインストールして使うという概念はなくなるんじゃないかと。 そうなると、ソフトウェア開発ベンダーが意味をなさなくなるわけですね。当然セキュリティの関係があるのでゼロにはならないと思いますが。 ホームページ自体もホームページとブラウザアプリケ−ション、ソフトウェアアプロケーション自体もブラウザとローカルのアプリケーションに分かれると思います。
Q:そうなってきたときのサービス形はどのようになると思いますか?
ブラウザベースのアプリケーションということになると、広告モデルしかないと思っています。
ソフトそのものではお金がとれない訳ですから、文章に関係する広告が表示されるとか。ユーザーにとって便利か不便かはわからないですけど。
Q:アプリケーションが必要になると、ヨドバシに買いに行くんじゃなくて、オンライン上に揃っているということですね。
簡単なものはそうなると思います。プロ仕様のものはお金を払って使うと。
Q:その領域でこれからいろんなサービスをつくろうという方がでてくるわけですね。
私が調べた限りだと「シャッフルカードじゃらん」のようなアプリケーションぽいホームページは日本ではあまりないんですね。海外にはあるんですけど。 そういう意味では、日本の中で意図的にアプリケーションぽくして、サービスとしてだすのは意味があるんじゃないかと。今後真似してくれる人が増えていくのを期待しています。
Q:長田さんは今後どのような方向/サービスを考えていますか?
ブラウザでは広告モデル以外で収益を出すのは難しい。必ず、何か他のリアルなサービスが連動して動くような新しいサービス/ビジネスモデルを考えています。実は・・・・(この先は長田氏とクロスコで鋭意インキュベーション中です!)
*1 「シャッフルカードじゃらん」
(株)リクルートの旅行情報サービス「じゃらん」のAPIを使用して開発された新感覚の旅の宿探しサイト。リクルートとサン・マイクロシステムズ(株)が共同で開催した技術者向けの新サービス開発コンテスト「Sun×RECRUIT Mash up Award」(2006年)で「じゃらん賞」を受賞した。
*2 「Ajax」
JavaScriptのhttp通信機能を利用して、Webページとサーバ間でXMLデータ処理を行い、ブラウザ内表示に反映させていく、Webアプリケーションの方式。
*3 「Google Docs」
Google社が提供する、webブラウザ型の文書作成アプリケーション。
*4 「Google Spreadsheets」
Google社が提供する、webブラウザ型の表計算アプリケーション。







